診療案内

Treatment

診療の特徴

消化器外科は、紹介医療機関の先生方から信頼される診療科を目指しております。

食道悪性疾患に対して内視鏡検査、消化管造影検査、CT、MRI、PET/CTなどを組み合わせ、正確な診断結果に基づいて適切な治療を行っています。食道良性疾患についても食道内圧検査やpH・インピーダンス検査など専門的な検査態勢が整っており、治療に難渋した良性疾患も受け入れています。低侵襲な胸腔鏡や腹腔鏡を用いた内視鏡下手術を標準手術としており、ロボット支援下手術も積極的に行なっています。
胃疾患は主に胃癌、胃粘膜下腫瘍を対象に、手術、内視鏡治療、化学治療を行っております。胃をできるだけ温存することおよび手術侵襲の軽減を特徴としており、術後のQOLは大幅に改善されました。早期胃癌に対しては腹腔鏡手術ロボット支援下手術を積極的に行っております。また終末期の患者さんに対しては、緩和ケア科と連携をとりながら中心静脈栄養管理による在宅療養を行っております。

大腸癌は年間約200例の手術を行っております。結腸癌に対しては、基本的に腹腔鏡手術を行い、癌の根治性を保ちながら痛みや苦痛を最小限にとどめ、患者さんの早期社会復帰を図っております。また直腸癌に対しても、腹腔鏡手術の適応を広めていきます。特に局所の高度進行下部直腸癌に対しては国際標準治療である術前放射線化学療法を施行し、治療成績の向上を図っております。その他、再発癌、癌腫以外の悪性疾患、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患、慢性腸閉塞、小腸疾患、緊急疾患などに広く腹腔鏡手術を導入し、治療成績の改善を図っていきます。また、骨盤内再発や高度進行悪性疾患に対しても手術を専門的に行っております。

肝胆膵外科では、主に肝胆膵がんに対する外科治療と化学療法を行っております。また、胆石症などの良性疾患も受け入れております。がんにたいしても低侵襲な腹腔鏡を用いた内視鏡下手術を多くの症例で施行しており、ロボット支援下手術も行っております。消化器内科および画像診断科と緊密に連携を取りながら画像診断・内視鏡的診断を行い、外科・消化器内科・画像診断科・病理診断科の合同カンファレンスで検討した上で最適な治療法を選択しています。各科の良好なチームワークと経験豊富な外科医による診療実績によって、肝胆膵手術では、日本肝胆膵臓外科学会の高難度修練施設Aを取得しております。

その他、鼠径ヘルニアや腹壁ヘルニア、虫垂炎や腸閉塞を始めとする腹部救急疾患、後腹膜腫瘍などの腹部腫瘍についても診療を行なっております。

手術実績

上部消化管班

2023年の食道疾患に対する治療総数は221例でした。食道癌は209例で、そのうち手術を69例、内視鏡治療・ステント挿入・化学療法・化学放射線療法などを159例に行いました。また、粘膜下腫瘍・胃食道逆流症・食道アカラシア・特発性食道破裂などの食道良性疾患8例に手術をしました。傷が小さく痛みも軽い胸腔鏡下手術や腹腔鏡下手術は内視鏡外科手術と呼ばれ、全国でも約70%の食道癌に施行されていますが、当科はわが国における先導的施設であり、ほぼすべての症例に行っています。さらに2019年からロボット支援外科手術を導入し、積極的に行っています。 当科は日本食道学会の「食道外科専門医認定施設」であるとともに、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)の「認定参加施設」として、食道疾患に対する高度な医療の提供とともに、標準治療の確立に貢献しています。
胃疾患は、主に胃癌、粘膜下腫瘍(GIST他)などの治療を行っています。当院での2022年度院内がん登録では胃の治療総数は219件で手術症例は70件です。切除不能転移再発症例には化学療法(抗がん剤治療)を行っています。胃癌の外科治療は、癌の場所(部位)と深さ(深達度)、転移(リンパ節転移・遠隔転移)の有無により切除方法を決定し、幽門側胃切除術・胃全摘術・噴門側胃切除術などがあります。胃粘膜下腫瘍には胃部分切除術を行います。手術のアプローチは、開腹術・腹腔鏡下手術・ロボット支援手術があり病状に合わせて選択します。近年患者さんに負担の少ない低侵襲手術(ロボット手術・腹腔鏡手術)を積極的に行っており、その件数は増加しています。化学療法は、切除不能または転移・再発胃癌に行っています。 最終診断でStage Ⅱ/Ⅲの術後胃癌は再発予防の為に術後補助化学療法を行っています。GISTに対する治療では、手術に加え分子標的治療薬による治療を行っています。

下部消化管班

毎年約150例の結腸癌、約60例の直腸癌の患者さんを治療しています。大腸癌は進行程度によってⅠ期、Ⅱ期、Ⅲ期、Ⅳ期に分けられ、手術のみではⅡ期では20%、Ⅲ期では 35%に再発が起こります。Ⅳ期では肝臓や肺などへの転移に対する治療を同時に行う必要があります。そこで個々の患者さんの進行程度に応じた専門的な治療(集学的治療と呼ばれる)を行っています。具体的には、①大きな癌、周囲に浸潤している癌以外に対しては腹腔鏡を併用した手術、②局所高度進行直腸癌へは手術前から放射線治療を併用し、手術治療のみでは15-20%にのぼる骨盤内の再発率を2 - 3 %に減らし、さらに癌を縮小させて永久的な人工肛門を避ける治療を行っていることが当科の特徴です。また、骨盤内再発や高度進行悪性疾患の手術を専門的に行っております。2021年は、大腸癌切除例約210例、その他悪性疾患切除例約50例、良性疾患手術約120例(鼠径ヘルニア手術約80例)施行しております。
最近では欧米を中心に進行直腸癌に対して放射線療法と化学療法を組み合わせて行う治療法(TNT: Total Neoadjuvant Therapy)で約3割の方に直腸癌の手術が不要になるとの報告があり、当科でも導入しております。大学病院としての使命を果たすために、各種の臨床試験や治験にも参加しております。また若手の指導にも力をいれております。

肝胆膵班

毎年、年間の膵頭切除、膵全摘術は約60例、膵体尾部切除は約20例(腹腔鏡下膵体尾部切除、ロボット支援下膵体尾部切除を含む)、肝切除は約70~80例(腹腔鏡下肝切除、ロボット支援下肝切除を含む)です。2024年4月より膵臓・胆道疾患センターを開設して特にこの領域の診断と治療に力を入れております。また高難度の膵切除・肝切除を多数施行するとともに、積極的に術前・術後の補助化学療法を行って治療成績の向上に努めています。肝胆膵領域のがんは、難治癌が多い分野ですが、近年薬物療法(抗がん剤治療)の進歩もあり、保険診療で使用できる薬も増えています。初診時に切除が難しいと判断されたがんも、抗がん剤治療を先に行うことで、“切除を諦めない治療戦略”が提示できる場合もあります。また、局所で進行したがんに対する粒子線治療も保険適応になっており、私たちは外科の立場から、それらすべての治療選択肢を提示した上で、外科治療のメリットを最大限に引き出せる治療方法を提供致します。

疾患と治療について

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